所有する空き地にアパートを建築し他人などに賃借する場合には、
相続税法上の評価が
土地 + 現金 → 貸家建付地 + 貸家
という評価になるため、安くなることがあります。
また、小規模宅地等の相続税の課税価格の特例も適用できれば、その土地の評価額について減額できる場合があります。
ただし、メリット・デメリットの双方があります。
検討する際は、ご自身のライフプランや所有する財産の配分などいろいろな要素が絡みますので、慎重にご対応ください。
ここでは一般的なメリット・デメリットや、税制上の解説をいたします。
【メリット】
- 評価方法の違い(土地・アパート)
空き地であれば、土地の評価方法に基づいて、自用地として100%の評価となりますが、アパートを建築して賃借する場合「貸家建付地」としての評価となる場合には、概ね評価額が下がることとなります。(評価基本通達26)また、現金として所有している場合はその金額が評価額となりますが、アパートを建築した場合にはその評価は家屋として、固定資産税評価額となり、また貸家となればさらに借家権割合を引いた価格となりますので、評価額としては一般的に下がることとなります。(評価基本通達93)
- 小規模宅地等の相続税の課税価格の特例の適用
上記の評価方法とあわせて、個人が土地を事業や居住の用に供している場合には、相続税の計算上その評価額を減額できる特例があります。(措置法69の4)
ただし、この特例の適用にあたってはそれぞれについて評価上、適用限度が設けられており、選択について注意が必要です。
- 資産運用効果
空き地や現金をそのままで保有するよりは、資産を運用することにより運用益を生むことが期待できます。
ただし、その運用益は所得税の確定申告が必要となります。
【デメリット】
- 現金の固定化
上記のようにメリットもある反面、現金を建物にすれば財産は固定化し相続の際に分けることが難しくなることが考えられます。
- 納税資金の工面
相続税が納税となる場合には、原則は現金にての一括納付ですので、建築 資金に回した場合には納税資金の準備が必要となることが考えられます。特例として延納や物納という方法もありますが、検討が必要です。
- 土地の自己利用
アパートとして他人に賃借する場合には、当面の間は自己でその土地を利 用することができなくなります。
もしアパートを建築する場合には十分に検討することが必要です。
- アパートの空室リスク
アパート事業がうまくいけば良いですが、空室が多くなる場合には固定資産税の支払いや修理費などのコストを回収できなくなることも考えられます。
以上のように検討するべき事項が多々あります。実行される前には、必ず、専門家にご相談ください。