ご質問のうち、自己株式の取得については、平成18年の法人税法の改正項目のひとつです。
従前の法人税法の取扱いでは、自己株式は、有価証券として取り扱われていたため、会社が自己株式の贈与を受けた場合には、無償による資産の譲受(法人税法22(2))として受贈益を計上することとされていました。
平成18年改正においては、自己株式が、有価証券の範囲から除かれることになり(法人税法施行令11)、資本金等の額のマイナスとして認識されることになりました(法人税法施行令8(1)20)。
これは、会社法において募集株式の発行と自己株式の処分の手続が一体化されたこと等により、税務においても取扱いを変更したものと考えられます。
そこで改正後においては、自己株式の取得行為は、資本等取引であることから、無償取得又は低額譲受であったとしても受贈益として課税されないと考えられます。その結果、「自己株式を無償で取得した場合、自己株式の数のみの増加として処理する」とする会計基準の取扱いとも整合することになります。
ただし、この無償取得又は低額譲受により株主間の経済的利益の供与が生ずる場合には、贈与税の課税対象となりますので留意が必要です(相続税法9条、基本通達9-2)。
他方、株主側においては、有価証券の無償の譲渡ですから、株主が法人の場合には寄附金課税(法人税法22、37)、個人の場合にはみなし譲渡(所得税法59)となります。
ただし、自己株式の無償取得に対する税務上の見解については、無償取引であっても、自己株式の取得の段階において時価で認識し(自己株式/受贈益)、それがマイナスの資本金等として処理される(資本金等の額/自己株式)べきであるから、受贈益課税が生ずる、とする考え方もあります。
本文書作成時において上記の見解は必ずしも統一見解ではありませんので実務においては必ず専門家に相談するようにしてください。