通常どおり翌年の3月15日が申告期限となります(所法120)。
ただし、個人事業廃止にともなう税務署等への届出は廃止の事実から1ケ月以内に提出が必要となります(所法229)。
1月〜個人事業廃止の日までを個人事業として事業所得を計算します。
そして医療法人設立後に受ける医療法人からの報酬を給与所得として合算して、総合所得金額を計算します(ほかに所得がある場合は、それらも合算します)。
このとき、事業所得の必要経費として算入できる経費は、事業廃止日にて確定される債務となっています。
必要経費として算入できる租税も同様です。
しかし、事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税は、当該事業税の課税見込額を、廃止した年の必要経費として算入することができることになっています(所基通37-7)。
この場合の計算式は以下のとおり定められています。
{(A±B)×R}÷(1+R)
A:事業税の課税見込額を控除する前の、
当該事業年分の事業に係る所得金額
B:事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算もしくは
減算する金額
R:事業税の税率(医療ならば5%)
しかし、年末近くに法人成りを行ったことにより申告までに個人事業に係る債権債務が事業税以外でも確定しなかった場合の特例として「事業を廃止した場合等の必要経費の特例(所法63)」があります。
この特例は、事業を廃止した後で、当該事業にかかる費用又は損失で事業所得の必要経費が生じた場合は、「事業廃止した日の属する年分もしくはその前年分の所得の必要経費に算入」することになっているため、申告後に分かった場合には更正の請求を提出することになっています。
この必要経費として算入すべき金額が、事業を廃止した日の属する年分の所得金額以下であれば、廃止した日の属する年度の必要経費に算入します。
またその金額が、廃止した日の属する年分の所得金額を超える場合には、廃止した日の属する年分の所得までを、廃止した日の属する年分の必要経費へ算入し、超えた分を事業を廃止した日の属する年分の前年の必要経費として算入します。
このような経費の例としては、個人事業時代より勤務されていた従業員の退職金が法人成後に発生した場合、個人事業時代の事業主として負担すべき金額は個人事業の経費として計算されます。