受贈者が財産をもらう代わりに一定の給付を負担する負担付贈与の場合、お
尋ねの贈与税は贈与財産の価額から負担額を控除した価額に対し課税されます。
この場合の課税価格は、次のように、贈与される財産の種類によって異なり
ます。
<負担付贈与の課税価格>
(1)贈与財産が土地,借地権,家屋,構築物等の場合
贈与の時における通常の取引価額に相当する金額(売買時価)から負
担債務額を控除した価額
(2)贈与財産が上記以外の場合
原則その財産の相続税評価額から負担債務額を控除した価額
ご質問の贈与財産は(1)に当たり、「引継ぐローン残高=土地建物の評価
額」とはなりませんのでご注意ください。
例えば、土地建物の売買時価が合わせて2000万円、ローン残高が1000万円の
場合、2000万円 − 1000万円 = 1000万円(A)となり、(A)はみなし
贈与として贈与税の課税対象となります。
他にかかる税金として、贈与者側の譲渡所得課税があります。この場合、収
入金額はローン残高となり、自宅売却の譲渡益に係る「居住用財産の3000万円特別控除」は適用されません。
又、贈与財産の時価の2分の1未満の負担額で贈与し譲渡損失が生じるときは、この譲渡損失の金額はなかったものとみなされます。
もちろん、不動産の所有者が移動すれば、不動産取得税が新たな所有者
に対してかかります。
以上のことから負担付贈与を実行する前には、贈与財産の時価や負担額を確認し、税額についてのシミューレーションをするとともに、別の贈与方法であ
る相続時精算課税制度との比較検討などをしてみてはいかがでしょうか。
(参考条文:相基通9-11、21の2-4、平元・3直評5外、所法59(2))