【譲渡側の処理】
個人が株式を発行会社に譲渡した場合には、原則として配当所得と譲渡所得の2種類の所得を構成することになります。
すなわち、譲渡価額から資本等の金額に対応する部分の金額を控除した部分については配当所得となり、資本等の金額に対応する部分から取得価額を控除した部分については譲渡所得となります。
取得価額が50,000円の株式を80,000円で譲渡した場合、発行会社の資本等の金額が60,000円のケースでは、譲渡所得の金額は10,000円(=60,000円−50,000円)、配当所得の金額は20,000円(=80,000円−60,000円)となります。
なお、配当所得に係る部分については、20%を源泉徴収のうえ総合課税所得として確定申告することになります。この配当控除の適用を受けることができます。(又、譲渡側が法人の場合は、受取配当等の益金不算入の規定により、50%又は100%を益金から減算することができます。)
【買取側の処理】
従来、税務上の自己株式の取扱は、取得時に資産計上することとされていましたが、平成18年度の法人税法改正により、有価証券の範囲から法人が有する自己株式が除かれることとなりました。(法法2)
すなわち、自己株式の取得は、資産の取得ではなく、完全に株主への資本の払戻しと同義に捉えられることとなりました。
したがって、一般的な有償取得である場合には、取得した株式の種類に応じて資本金等の額から取得資本金額を減算し(法法2十六、法令8二十)、その金額を超える部分の金額について、利益積立金額を減算することとされました。(法法2十八、法令9八)
実務上の別表処理としては、いくつかの方法があると考えられますが、取得した場合の処理については従前の処理とほぼ変わらないことになります。
すなわち、自己株式の取得対価のうち、みなし配当分を自己株式過大計上として別表四の減算欄に留保、別表五(1)の利益積立金額の計算に関する明細書に同額を表示し、併せて、取得資本金額を超える部分は、みなし配当として損金不算入となるので、別表四の減算欄で認容した金額と同額を社外流出として加算処理することになります。