定時株主総会等で、役員報酬を増額改訂したことに伴い、その事業年度開始
の日から改訂日までの間の増額部分を一括支給した場合、これまでは「役員報
酬」として損金算入が認められてきました。(法基通9-2-9の2)
しかし、平成18年度の税制改正により「役員報酬」という考え方自体がなく
なってしまったため、この通達の考え方は使えなくなりました。
平成18年度の税制改正では、「役員給与」と定義され、その上で定期同額給
与又は事前届出等に該当するもののみ、損金算入が認められることになりまし
た。(法法34)
以上のようなことから、事業年度開始月からの増額は難しいのですが、以下
のような方法が考えられます。
*事業年度開始の日から改訂日までの増額金額を織り込んで増額する方法
例えば、3月決算法人が5月の定時株主総会で支給額の増額を決議し、6月から
増額する場合に、6月に4・5月の増額支給分を一度に支給すると損金不算入とな
るため、4・5月分に相当する増額金額を、残りの6〜3月に均等に配分した金額
の増額改訂を行うことで、4・5月分に相当する役員給与を損金算入とすること
ができます。
<具体例>
3月決算法人が5月末の定時株主総会の決議により、6月より役員報酬を増額す
る場合
前提条件:月額100万円の役員報酬を月額20万円増額したい
*損金不算入となってしまう場合
4月・5月 100万円 6月 160万円 7月〜3月 120万円 とすると、定期
同額給与に該当しないこととなり、6月の40万円については損金不算入となる。
トータル 損金算入額:1,400万円<120万円×12=1,440万円
*全額損金算入可となる場合
4月・5月 100万円 6月〜3月
124万円(100万円+20万円×12÷10月)
全額損金算入可能となる
トータル 損金算入額:1,440万円=120万円×12=1,440万円
又、3月中に臨時株主総会を開催し、翌事業年度からの役員報酬を増額改訂す
る方法もありますので、ご検討ください。