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 〜税金・申告〜
 欠損法人の買収規制
 

多額の欠損があるA社(化粧品小売業)の株式をB社が100%購入して、B社の子会社としました。
A社の役員は全員辞任、代わりにB社の役員が就任し、 A社の従業員の過半数を解雇するなどの人員整理した後、A社で新規事業(健 康食品小売業)を始めました。
1年経過しA社は新規事業で儲かったのですが、 繰越されている多額の欠損を活用して、法人税の計算をすることはできるので しょうか?

 

 

 平成18年4月1日より、欠損法人の買収規制が強化されました。

 欠損等法人(※)を買収するにあたり以下の事由に当てあまる場合は、その事由の生じた事業年度以前に生じた欠損金については、青色欠損金の繰越控除制度は適用されないことになりました。(法57条の2[1])

  1. 休眠会社が特定支配日以降に事業を開始すること
  2. 特定支配日の直前に事業の全てを廃し又は廃止見込の場合で、旧事業の特定支配日直前における事業規模の概ね5倍を超える資金の借入又は出資による金銭その他の資産の受入を行うこと
  3. 買収会社又は買収会社の関連者が第三者から欠損等法人に対する特定債権を取得している場合において、欠損等法人が旧事業の特定支配日における事業規模の概ね5倍を超える資金借入を行うこと
  4. 上記1、2、に規定する場合、又は3の特定債権が取得されている場合において、欠損等法人が自己を被合併法人とする適格合併等を行うこと
  5. 次の全ての要件を満たす場合
    1. 欠損等法人が特定支配関係を有することとなったことに基因して、欠損等法人の特定支配日の直前における役員の全てが退任すること。
    2. 特定支配日の直前において欠損等法人の業務に従事する使用人(旧使用人)の総数の概ね20%以上に相当するものの数が欠損等法人の使用人でなくなったこと
    3. 欠損等法人の非従事事業(旧使用人が実質従事しない事業)の事業規模が旧事業の特定支配日の直前における事業規模の概ね5倍を超えることとなること
  6. 上記1〜5に掲げる事由に類するものとして政令で定める事由

    ※ 欠損等法人
       他のものによる特定支配関係(※2)を有することとなった内国法人
       で、特定支配事業年度(※3)において、それ以前の事業年度で欠
       損金額または評価損資産を有する法人

    ※2 特定支配関係
       法人の一方がもう一つの法人の発行済株式数の50%超を直接ま
        たは間接に保有する関係、個人が法人の発行済株式数の50%超
        を直接または間接に保有する関係(法令113条の2[1])

    ※3 特定支配事業年度
       特定支配関係を有することとなった日(特定支配日)の属する年度

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 ご質問の場合、B社がA社株式の50%超を保有したことになった時点で特定支配関係となり、A社は多額の欠損があるため、「欠損法人」となります。

 特定支配関係になったことにより役員の全てが退任している点、特定支配関係になる前の従業員のほとんどが引き続き従事していない点から、新規事業が既存事業規模の5倍を超えることとなれば、上記事由の5に該当することとなります。

 例えば、当期新規事業の売上など事業規模を示すものが、既存事業の5倍を越すこととなれば、当期より、欠損等法人の繰越欠損金は使用できないこととなります。