平成18年度税制改正では、ゴルフ会員権の譲渡損について改正はなされませんでしたので、従来どおり損益通算が可能です。
現行の所得税法上のゴルフ会員権の課税方法についてまとめてみます。
ゴルフ会員権には、一般的に預託金制のものと株主会員制のものがあります。
両者は法的地位は異なりますが、譲渡した場合の課税関係については、ゴル
フ場の施設利用権の譲渡として所得税法上は譲渡所得として同一の取扱いとさ
れます。
(所法33、所基通33-6の2)
この譲渡所得の金額は、給与所得、事業所得などの他の所得と合算されて超過累進税率により課税(総合課税)されます。
・ゴルフ会員権の所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)
課税の対象=収入金額−取得費−譲渡費用−50万円特別控除
・ゴルフ会員権の所有期間が5年を超える場合(長期譲渡所得)
課税の対象:(収入金額−取得費−譲渡費用−50万円特別控除)×1/2
他方、譲渡損が発生した場合には、譲渡所得のマイナスとなりますので、損益通算の対象となります。すなわち、事業所得や給与所得などの他の所得と、一定の方法により通算が可能となります。
損益通算して通算し切れなかった損失がある場合には、青色申告者に限って3年間の繰越控除が認められています。
ただし、土地・建物に係る譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額については、他の所得と通算できないこととされているため、ゴルフ会員権の譲渡損失とも損益通算できません。
次に、ゴルフ場が破綻した場合については、会員権の購入額を回収できなくなるため経済的には損失が発生しますが、破綻等の事実は譲渡行為ではないため、上記の譲渡損失には該当しません。この場合の損失は所得税法上はいわゆる家事上の損失となるため、いずれの所得とも通算できません。
最近は、さまざまなゴルフ場の再建スキームがみられ、容易に破綻か譲渡かを判断できない事案もあります。ゴルフ場の経営が引き継がれる場合などの複雑な事案の判断については、ご相談ください。