平成18年度の税制改正により、国外支配株主等に係る負債の利子の課税
の特例、いわゆる、過少資本税制について、課税強化の改正がありました。
過少資本税制とは、外国の親会社が、日本に子会社をつくる際に、本来、出
資によるべきところを、できるだけ出資は少なくして、多額の貸し付けとい
う形で日本に子会社をつくり、日本の法人税を軽減する行為に対して課税す
る税制です。
具体的には、日本の子会社が、外国の親会社に対して支払う借
入金の支払利息のうち、一定額を損金不算入にするというかたちをとります。
(措置法66の5)
例)出資による資金調達: 子会社 → 親会社
配当支払
(配当は子会社側で損金として控除できない)
借入による資金調達: 子会社 → 親会社
支払利息
(支払利息は子会社側で損金として控除可能)
↓
子会社の課税所得が減るので過少資本税制で一定額を損金不算入
具体的な改正点は次のとおりです。
- 負債の見直し(平成18年4月1日以後に終了する事業年度から適用)
主に国内金融機関等が外貨資金調達として利用しているレポ取引、すなわち債券現先取引等について、国外支配株主等及び資金供与者等に対する負債から除外することができるようになりました。ただし、資本持分に対する倍数は3倍ではなく2倍です。
- 負債利子の見直し(平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
過少資本税制の適用を受けていない次の取引を負債及び負債利子の範囲に追加します(日本の法人税の課税対象所得に含まれる負債の利子等を除く)。
- 国外支配株主等が債務の保証をすることにより第三者が資金を供与した場合のその資金に係る負債並びにその負債の利子及び国外支配株主等に支払う債務の保証料
- 国外支配株主等から借り入れた債券を担保に第三者が資金を供与した場合のその資金に係る負債並びにその負債の利子及び国外支配株主等に支払う債券の使用料
- 上記1)及び2)の取引を組み合わせた場合の第三者が供与した資金に係る負債並びにその負債の利子、国外支配株主等に支払う債務の保証料及び第三者に支払う債券の使用料