平成17年度税制改正において、青色申告書を提出する法人又は個人を対象に教育訓練費の一定割合を法人税額から控除する人材投資促進税制が創設されました。
(措法42条の12、同法10条の7)
主な留意点は下記のとおりです。
- 3年間の時限措置です。
法人:平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度
個人:平成18年分から平成20年分まで
- 当期の教育訓練費の総額が、前2期平均額より増加していることが適用の前提です。そのため設立1期目は適用することができませんが、設立2期目の場合は、設立1期目の額を前2期の平均額とみなして適用することが可能です。
- 損金経理(必要経費算入)が要件です。
- 連結納税においては、連結グループを一体として適用されます。
- 申告する際、申告書への控除額の記載及び金額の明細書、教育訓練費の内容等を記載した書類の添付が必要です。
税額控除額の算定には下記の2通りの方法があり、中小企業者等であれば有利な方を選択することができます。
但し、控除額は共に法人税額の10%が上限であり、超えた額について翌年度に繰り越すことはできません。
- 基本制度による算定
控除額=(当期教育訓練費−前2期分の教育訓練費の平均額)×25%
- 中小企業者等の特例措置による算定
控除額=教育訓練費の総額の一定割合(最大20%)
(1)増加割合が40%以上:一律20%
(2)増加割合が40%未満:増加割合の1/2の率
どの程度の税金が優遇されるかについての例は下記の通りです。
(中小企業A社の例)
教育訓練費の支出:前々期900万円・前期1100万円・当期1200万円
当期法人税額:2500万円
(1)適用年度の教育訓練費の額:1200万円
(2)比較教育訓練費の額:1000万円=(900万+1100万)×1/2
(3)教育訓練費増加割合:20%=(1200万−1000万)/1000万
(4)税額控除限度額:250万円=2500万円(当期法人税額)×10%
●基本制度を適用する場合
増加額200万円×25%=50万円(控除額)〜
250万円(税額控除限度額)
●中小企業者等の特例を適用する場合
増加割合が40%未満なので、増加割合20%の1/2が控除率となります。
1200万×10%=120万円(控除額)〜250万円(税額控除限度額)
この企業の場合は、基本制度50万円〜特例120万円となり、特例を選択する方が有利となります。