〔1〕所得の区分
保険の満期に伴い支払われる保険金の受取方法による所得税の課税方法について解説致します。
所得税法上、保険金を全額一括で受取る場合には「一時所得」、何年かに分割して受取る場合には「雑所得」として取り扱われます。
それぞれの課税方法については下記のとおりとなります。
〔2〕一時所得の場合の課税方法
(受取った保険金額)−(その保険契約に係る保険料)
−特別控除額50万円=一時所得の金額(A)
注)特別控除額は受取った保険金額から保険料を差し引いた
残額が50万円に満たない場合にはその残額となります。
{(A)×1/2+給与その他の所得−所得控除額}
×税率=所得税額
〔3〕雑所得の場合の課税方法
(その年に受取る年金の額)−(必要経費)
=雑所得の金額(B)
注)必要経費の額は下記の算式により求めます。
(その年に支払(その生命保険契約等に係る保険料の総額)
を受ける年金の額) × ――――――――――――――――――――
(年金の支払総額(又はその見込額))
*小数点3位以下切り上げ
{(B)+給与その他の所得−所得控除額}×税率=所得税額
〔4〕具体例
保険金額1,000万円、保険料750万円、年金の受け取り期間10年、
給与その他の所得300万円の場合。
(1)一時所得に該当する場合
(イ)1年目
1,000万円−750万円−50万円=200万円(上記A)
(200万円×1/2+300万円−38万円)×20%
−33万円=39万4千円
(ロ)2年目から10年目
(300万円−38万円)×10%=26万2千円
(ハ)(イ)+(ロ)×9年=275万2千円
(2)雑所得に該当する場合
(イ)1年目から10年目
100万円−(注1)75万円=25万円(上記B)
750万円
(注1)100万円×――――― =75万円
1,000万円
(25万円+300万円−38万円)×10%=28万7千円
287千円×10年=287万円
(注2)他の所得がなく、所得控除は基礎控除額のみ
定率減税額がないという前提で計算してます。
〔5〕注意点
保険金は受け取り方によって、〔2〕〔3〕のとおり所得税の金額が異なってき
ます。また保険金額及び年金の支払いを受ける期間によっても所得税の金額は異なってきます。