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◇新着税務情報◇
 〜外資〜
 第三国で製造している場合のタックス・へイブン税制の適用可否
 

日本企業が香港に100%出資子会社(製造業)を設立しました。製造自体は、香港ではなく中国の広州にある工場を借りて行っています。工場で製造した製品は、工場から出荷し、それぞれの納入先へと配送されます。納入先の80%以上は、関係会社以外の取引先です。

  当該子会社は、いわゆる「特定外国子会社等」に該当しますが、当該子会社に留保利益が生じた場合、タックス・へイブン税制の適用を受けてしまうのでしょうか?適用を受けないための条件を教えてください。

 

タックス・ヘイブン税制は、適用除外の要件を定めて実体のある事業活動を行う外国子会社等をその適用から除外しています。

  ご質問のように、法人税率が25%以下である香港に所在する特定外国子会社であっても、次の適用除外要件の全てを満たしており、かつ、貴社の確定申告書にその旨を記載した書面(申告書別表17(二)、同付表)を添付し、適用除外に該当することを明らかにする書類を保存している場合には、本税制による合算課税は行われないこととされています。 (適用除外要件)

  1. 事業基準 主たる事業が、株式・出資・債権の保有、工業所有権・著作権・出版権等の提供、船舶・航空機の貸付け以外であること。
  2. 実体基準 主たる事業を行うのに必要な事業所等の固定施設が当該 国・地域内に保有又は賃借されていること。
  3. 管理支配基準 主たる事業の管理、支配および運営が当該国・地域内で行われていること。
    具体的には、重要な意思決定機関である株主総会・取締役会の開催、役員の職務執行、会計帳簿の作成保管等が本店所在地で行われていることのほかに、業務執行上の重要な事項を自らの意思で決定しているか等の諸事情を総合的に考慮して判断する必要があります。
  4. (a)非関連者基準または(b)所在地国基準
     (a) 卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水産業、航空運送
        業では、その事業を主として非関連者との間で行っていること。
       (卸売業であれば収入金額または仕入金額のいずれか一方の金
        額の50%超について非関連者との取引であることなど)

     (b) その他の業種(製造業、小売業、サービス業、建設業、不動産業
        など)では、その事業を主として本店または主たる事業所の所在
        する国または地域で行っていること。  

貴社の場合、中国の広州にて製造活動を行っていますので、適用除外要件の4.(b)所在地国基準を満たしているかどうか疑義があります。

 外国子会社を香港において設立したことについて経済的合理性が認められない場合にはタックス・ヘイブン税制の規定が適用されることとなります。

参考条文:措法66の6の3・5