2010年1月22日(金) |
母は強し、扶養親族の綱引き |
離婚し、子は母方に 離婚後、養育費その他の費用を負担している父と、日常の起居を共にしている母とが、それぞれの勤務先に長女を扶養親族とする「扶養控除等申告書」を提出しているような場合、法律は、どちらか一方の扶養親族として調整することを要求しています。 調整不能時の判定 では、その調整ができない場合にはどういうことになるのでしょうか。 判断基準を考えるとしたら次のどれになるでしょうか。
あなたの見解は? なんとなく、1.が最も正論、2.は現実論とは言えるもののスジ論としては弱そう、3.は意外な回答サンプルを提示するための異端な屁理屈、と思えそうです。 実際、この問題で係争となった事案があり、国税不服審判所の裁決が出ています。 |
審判所の見解は!! 1.は母親の見解で、母親は税務署から長女を扶養親族とすることを否認され、増額更正処分を受けました。 2.は税務署の見解で父親側に味方しました。 3.は審判所の判断で、一転して母親に軍配をあげました。 審判所の裁決は、母親の見解も税務署の見解も否定し、第3の見解としての3.を判断根拠としました。 3.をもって法律の正しい解釈とするのは意外に思えますが、法令をよく読むと、確かに3.とするのが正解になっています。 法令の内容は次の通り 法令には、1.の見解の根拠になる規定はなく、規定があるのは2.と3.についてで、まず、勤務先に提出する扶養控除等申告書の提出の時間的先後をもって決着させるものとして3.があり、それが決せられない場合は所得の大きい者の扶養親族とするとの2.があります。 審判所は、各勤務先に扶養控除等申告書の提出された日を問い合わせて、母親の提出日が早いことを確認して、母親の申告を優先採用するものとしました。 書類は速やかに提出しといたほうが有利なのです。 |
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