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2009年11月30日(月)

配偶者控除を考える
 
 

 民主党政権の「控除から手当へ」の転換による子ども手当創設に伴い、廃止される予定の配偶者控除ですが、子どものいない専業主婦世帯では負担が増えるということで賛否あります。

 そもそも、配偶者控除とは、どのようなものでしょうか?

創設の経緯

 配偶者控除は、事業所得者が家族従業員に支払う給料を必要経費に算入することとのバランスから、サラリーマン世帯の妻が家事育児など家庭において夫を助けるといった内助の功を評価するという立法趣旨のもと、1961年に創設されました。

 そのため、青色申告専従者給与の受給者や事業専従者は控除対象配偶者になることはできません。

不合理な規定

 サラリーマンの場合、妻のパート年収が103万円以下であれば配偶者控除を受けられるのに対し、個人事業主の場合、妻への給料支給額が103万円以下でも、配偶者控除を受けられません。

 個人事業主の妻も、夫の事業に従事した上で家事を行っているのが普通だと思います。

 サラリーマンの妻や専業主婦の家事のみを内助の功として評価するのは、明らかに不合理です。


内縁の妻は?

 所得税法は、民法の規定による配偶者と限定していますので、社会保険の扶養に入っていたり、家族手当の支給対象になっていたとしても、内縁の妻は控除対象配偶者にはできません。

 これも不合理と言えます。


一夫多妻の場合は?

 アフリカなどの一部の国では一夫多妻制を認めています。

 日本では、婚姻の成立は各当事者の本国法によることとされているので、一夫多妻は法的に認められます。

 では、配偶者控除を38万×妻の人数分受けられるかというとそうではありません。

 なぜなら、所得税法では、控除対象配偶者を「有する場合」には38万円を控除すると規定されているからです。

 ちなみに、扶養控除の場合は、扶養親族一人につき38万円を控除すると規定されています。