バックナンバー  2009年9月  2009年10月 
 

2009年11月17日(火)

「士」業の源泉所得税
 
 

源泉徴収制度は広範囲

 法人や個人事業主が、給料や賞与を支払う際には支払額に応じた所得税を徴収することが義務づけられています。

 この天引きで徴収する所得税を源泉所得税といい、徴収が義務づけられた法人や個人事業主のことを源泉徴収義務者といいます。

 源泉所得税は原則として徴収した翌月の10日までに国に納付しなければなりません。

 源泉徴収義務者が源泉徴収の対象とすべき支払には、給与のほかにも様々なものがあります。弁護士や税理士などいわゆる「士」業に対する報酬・料金は、その代表的なものです。

同じ「士」業でも異なった扱い

 「士」業に支払う報酬等に対する源泉徴収税額は、報酬等の額の10%というのが原則ですが、同一人に1回に100万円を超えて支払うときはその超える部分について20%と、徴収割合が高くなります。

 「士」業のうちでも、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士については、報酬額から1万円を控除した金額に10%の税率をかけた額が徴収税額になります。

 また、行政書士に対する報酬は源泉徴収の対象になっていません。

 その理由は、「所得税法第204条第1項に規定する報酬には該当していないから」です。


違っている本当の理由はわからない

 司法書士や行政書士などの報酬に対する扱いが他の「士」業となぜ違う制度になっているのか、いつからそうなっているのか、これらのことに関する説明を目にしません。

 業界の既得権益というにはあまりに些細なことですし、他に実益があるとも思えません。

 単に立法、行政がタイムリーに税制を見直すことを怠っていることの1例、といったら言い過ぎでしょうか。