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2009年5月22日(金)

法人税 欠損金の繰戻還付
 
 

 平成21年2月1日以後終了事業年度から、中小法人等について「法人税の欠損金の繰戻還付制度」が全面的に復活したことは、以前、当コラムにおいて紹介した通りです。

 今回は、もう少し詳しく内容を見ていきたいと思います。


欠損金の繰戻還付とは

 青色申告書を提出する中小法人等で、前事業年度が「黒字」で法人税を納めた法人が、今事業年度は「赤字」となり欠損金が生じた場合、この欠損金を前期の黒字と相殺し、前期に納付した法人税のうち、納めすぎとなった部分の金額を還付請求できるという制度です。

 計算式は次のようになります。

    繰戻還付金額=
      前事業年度の法人税額×
      欠損事業年度の欠損金額/
      前事業年度の所得金額


適用要件は

 還付を受けるようとする事業年度から欠損金が生じた事業年度まで連続して青色申告書を提出し、欠損事業年度の青色申告書は期限内に提出しなければなりません。



請求書の提出が必要

 欠損金の繰戻還付を受ける場合には、「欠損金の繰戻しによる還付請求書」に必要事項を記載して、欠損事業年度の確定申告書と同時に所轄税務署長に提出する必要があります。

 法人税の申告書を提出しただけでは、還付は受けられません。


地方税には制度なし

 地方税には、欠損金の繰戻還付制度はありません。

 欠損金の繰越控除のみです。

 したがって、この制度の適用を受けた場合、翌期以降、法人税は納税になっても、法人住民税の法人税割と法人事業税は納税なしとなる場合があります。


税務調査が必須?

 還付請求書が提出された場合、税務署長は税務調査を実施することとされています。

 通常の法人税調査よりも簡易な調査になると言われていますが、中小企業経営者の心理的圧迫感は相当なものです。

 くれぐれも、中小企業いじめにならないよう、すんなり還付してほしいものです。