2009年4月16日(火) |
少し誤解が?
内部留保と手元資金
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少し前まで、「企業は何兆円も内部留保をもっているのであるから、派遣社員を解雇するのではなく、雇用を守るため、もっと内部留保を活用すべきである」と、労働組合、経済評論家、マスコミ界からも盛んに叫ばれていました。 ですが、内部留保と手元資金(フリーキャッシュフロー)は、イコールの関係にあるのでしょうか。 (1)内部留保とは 会計学(財務会計)の教科書には、「内部利益」という定義はありますが、内部留保という定義は出てきません。それは、制度会計における「貸借対照表」(バランスシート)には、内部留保という項目がないからです。 では、内部留保とは何かです。簡単に言えば(一般論として)、企業が商品、製品、サービス等を売って儲けたお金から、そのための費用を差し引いて利益を計算します。 この利益から法人税等の税金を支払い、さらに、株主への配当金を支払って残ったものが内部留保ということになります。 次の貸借対照表でみると貸方(向かって右下に「純資産」という項目があります。 この中に「利益剰余金」という項目がありますが、そこから配当金を差し引いたものが内部留保と呼ばれています。 |
(2)手元資金(フリーキャッシュフロー) 上記の貸借対照表では内部留保は141兆円、一方、手元資金は現預金と有価証券の合計47兆円です。 内部留保は利益の蓄積ですが、常に同額の手元資金を持っているわけではありません。 企業は、利益として稼いだお金を原材料の仕入れ、工場や設備などに投資をするからです。 ですので、内部留保と手元資金は、イコールの関係にはありませんので、雇用維持のために振り向けられる資金にも限界があります。 少し誤解があるようです。 |
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