バックナンバー  2008年12月  2009年1月 
 

2009年2月10日(火)

平成21年税制改正(確定拠出年金) マッチング拠出とは
 
 

知っていますか?この言葉

 今年の自民党税制改正大綱に突然「マッチング拠出」という言葉が出てきます。

 金融・証券税制の項目のところです。出ているのは、日本語の「個人拠出」という言葉の説明文として、「(いわゆるマッチング拠出)」としてです。

 「いわゆる」とは「世にいわれている。よくいう。

 いうところの。」という意味で辞書に出ています。

 そんなことの故か、新聞等にも解説がありません。しかし、これは、官僚や業界内では「いわゆる」でも、世間的には「いわゆる」ではないのではと思われます。


改正案の内容

 大綱には、「確定拠出年金の拠出限度額について、次のとおり引き上げる。」として、

  1. 企業型
    イ 他の企業年金がない場合
      月額4.6万円→月額5.1万円

    ロ 他の企業年金がある場合
      月額2.3万円→月額2.55万円
  2. 個人型(企業年金がない場合のみ)
      月額1.8万円→月額2.3万円

 その上で、「企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛金は、その全額を所得控除の対象とする。」と書かれています。

個人の任意拠出を可能とする

 企業年金のない企業の従業員については従来から「個人型」が適用され月1.8万円(年21.6万円)を限度に個人として任意で確定拠出年金を設定できました。

 それに対し、「企業型」の確定拠出年金は全額企業負担の制度で、個人が任意で掛金を増やす余地はありませんでした。

 今度は、「企業型」でも個人の任意拠出の枠を設けるように改正する、ということです。

 ただし、拠出限度額の範囲で任意に、ということではありません。

 企業負担額と同額までで、かつ、その合計が拠出限度額の範囲内、ということです。企業とペアーということが条件で、それが「マッチング」の意味のようです。


小さく産んでも大きく育たない

 確定拠出年金の拠出限度額の拡大は遅々としています。特に企業年金のない中小企業の従業員のところが手薄です。

 今回の改正は、個人貯蓄を年金運用資金に呼び込んで、株式相場の安定に役立てよう、との趣旨です。社会保障の自助努力促進を趣旨にしていないところに、疑問が湧きます。