2009年1月5日(月) |
無償減資とその効果 |
資本の減少には、有償減資と無償減資があります。 前者は会社財産の払い戻しであり(剰余金の配当として取り扱われる)、後者は株主資本内部の計数変動で会社財産は社外に流出しません。 減資は、会社法上、原則として、株主総会の特別決議、債権者保護等の手続きを経なければできません。ここでは、「無償減資の目的とその効用」について考えてみたいと思います。 (1)無償減資と欠損補填 会社法上、例外として、減資によって欠損金を補填する場合に限り、資本と利益の混同は許され、減少資本金額を負の利益剰余金に振替えることを認めています。 仕訳で表現すれば「資本金/利益剰余金○○○」となります。 しかし、法人税法では、たとえ欠損補填の減資であっても資本と利益の混同は許されず、「資本金等の額」は不変です。 税務的な表現で会社法上の仕訳を修正すれば「利益積立金/資本等の額○○○」となります。 (2)資本金ゼロと法人税の取扱 無償減資ですが、会社法上、資本金をゼロに達するまでこれを行なうことができます。 交際費、寄付金、各種租税特別措置における中小企業の判定等などは、資本金をベースに損金算入の限度額計算及び判定等を行なってきましたが、資本金がゼロになってしまった場合、その会社は資本金を有しない会社として取り扱うのか、それとも資本金を有する会社として取り扱うのかにより、その限度額計算及び判定等の結果が異なります。 この点については、「株式会社は資本金制度を有する会社なので、資本金ゼロでも資本金を有しない会社には当たらない」と解して実務上運営されています。 |
(3)欠損補填の減資と法人事業税 外形標準課税適用法人(資本金1億円超)においては、課税標準の1つである「資本割」として、「資本金等の額」に対して0.2%の課税が行なわれています。 しかし、企業再生目的で欠損補填のための減資をしても「資本金等の額」が不変であれば、課税の軽減にはならず、当初の再生目的が達成されません。 そこで、平成16年度改正により、欠損補填のための減資であれば「その金額」を「資本等の金額」から控除できるとする特例措置が設けられました。 この特例は、平成20年度の改正でもさらに2年延長されました。 |
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