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2008年8月25日(月)

存亡の危機 端株のゆくえ!
 
 

 端株とは、1株に満たない株式(100分の1の整数倍にあたるもの)で、会社法では廃止されましたが、旧商法下において存在していたものはその存続が許されています。

 ところが、2009年1月の株券電子化で1株に満たない「端株」の存在が認められなくなります。

 すなわち、1株に満たない株は、システムの対象とはならないことから原則、無効になるということです。


(1)株式の1000分割

 数年前、IT関連会社が株式の100分割を繰り返し急成長しました。

 しかし幾つかの不祥事が発覚し結果100分割なる極端な株式分割は一種の錬金術のようなものだとして批判の目が向けられたこともありました。

 ところが、昨年、三菱UFJフィナンシャルグループは、株式の1000分割を実施しました。

 過去においても、これほどの株式分割はありません。

 狙いは、

  1. 端株主の救済
  2. 投資単位を現在の1株から100株にくくり直し、最低売買額を10分の1引き下げによる個人株主の増加です。

 すなわち、1株につき1000分割するということは、0.1株の端株主に、100株の株式が交付されることですから、端株主は株主となり、電子化の伴う無効から救済されることになりました。

(2)株式の無償割当

 一方、みずほフィナンシャルグループは、「端株解消」及び「売買金額引き下げ」の手段として、株式の無償割当を実施するとのことです。基本的な効果は、株式分割と同じです。

 具体的には、1株当たり999株の無償割当を実施することです。

 したがって、0.1株の端株主にあっては、99.9株の交付ということになりますので、結果的には、100株取得することになり、端株の解消になります。

(3)株式分割・無償割当と課税関係

 株式分割・無償割当は、発行会社の会社財産や資本金に変動ありませんので、課税関係は生じません。

 一方、株式の分割・無償割当で株式の交付を受けた株主は、原則として、課税関係は生じませが、株式の取得価額についての調整計算は必要です。

 なお、多くの上場会社では、この端株対策として、株式分割、買い取りによる金庫株にと、いろいろ検討中のようです。