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2008年8月5日(火)

納税者救済率

 
 

税金の争いの手続き

 税金の増額更正処分を税務署から受けたり、減額更正の請求を税務署にしてもそれを拒否されたりした時、その処分に不満がある場合での救済手段としては、税務署に対する異議申立や国税不服審判所に対する審査請求と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。


争って勝てるのか

 国税庁は毎年プレスリリースとして「不服の申立て及び訴訟の概要」を公表しており、ホームページを介して平成8年度分から平成19年度分まで閲覧できます。

 それによると、訴訟での納税者完全勝訴の割合は昨年11.4%、今年7.8%でした。ちなみに、5年ぐらい前までの平均勝訴率は3%でした。


裁判の前の行政機関での救済状況

 裁判に入る前の、国税不服審判所での完全救済率は昨年3.1%、今年3.8%でした。審判所では相変わらず低い救済率になっています。

 審判所の前に税務署への異議申立というのがありますが、ここでの完全救済率は昨年1.7%、今年1.6%でした。どんどん低くなっています。


一覧表を作ってみました。

年度
審査率
救済率
訴訟率
救済率
13年度
73%
4.1%
14%
4.7%
14年度
74%
3.0%
13%
5.8%
15年度
79%
8.4%
17% 
5.9%
16年度
83%
3.8%
20%
7.1%
17年度
84%
3.5%
15%
3.8%
18年度
81%
3.1%
16%
11.4%
19年度
69%
3.8%
17%
7.8%

 

平成19年分
完全救済
処理済件数
異議申立
79
4,956
審査請求
92
2,404
裁 判 
30
387


裁判の前に諦めるのが大部分

直近のデータでは、異議申立で救済されなかった人の69%が審査請求に及んでいますが、審判所で救済されなかった人については17%しか訴訟に入っていません。

平成19年のデータをとって、5,000件に近い数字を分母に置くと分子に3つの完全救済件数の計201が来ますが、救済率は4%。

 これが先進国かと疑いたくなる、気の遠くなるような実態です。