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2008年6月30日(月)

業務上の疾病とは どのような場合か?
 
 

仕事中に発症した疾病は業務上?

 労災保険の業務上の疾病とは、労働者が事業主の支配下にある状態において有害因子に曝露(さらされる)したことによって発症した症状をいい、必ずしも仕事中に発症した疾病を意味しているわけではありません。業務との間に因果関係が認められる場合に労災保険の対象となります。

 例えば、労働者が就労中に脳出血を発症したとしても、その発症原因にあたる業務上の理由が認められない限り、業務と疾病との間に因果関係は成立せず、一方で労働時間外の発症であっても、業務上の有害因子に曝露したことによって発症したと認められた場合は、業務上疾病とされます。


 

 

業務上疾病の3要素

  1. 労働の場に有害因子が存在していること。

    有害因子とは物理的因子・化学的因子・身体に過度の負担のかかる作業態様・病原体等の諸因子を指します。
  2. 健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされていたこと。

    健康障害は有害因子に曝露したことによって起こりますが「そのような健康障害を起こすほどであったのか」が問題です。
    その程度は基本的には、その濃度と曝露した期間によって決まります。又どのような形態で因子を受けたかも把握する必要があります。
  3. 発症までの経過や病態の医学的妥当性。

    業務上疾病は、業務に内在する有害因子に接触し、これが侵入することで起こるものなので、因子を受けた後短期間で発症するものもあれば、相当長期間の潜伏期間を経て発症するものもあります。

 昨年から労働保険年度更新時に石綿(アスベスト)健康被害救済の一般拠出金が徴収されていますが、有害因子を受けてから何年も経て肺に中皮腫が発症したケースです。

 又、昨今は過重労働や職場のストレスが原因で脳・心疾患やうつ病、自殺等が増え、労災とされるケースも目立っています。