2008年5月7日(水) |
訴訟上の地位の経済的価値 |
今年の2月4日の判決情報です。 被相続人が生前提訴し、原告がその地位を承継していた訴訟で争っていた金銭債権は相続財産なのか、という係争です。 損害賠償金請求事件などのテーマならピッタリ一致しますが、ここで争った金銭債権とは所得税更正処分等取消請求による過納税金の還付請求金でした。 判決での相続財産の限界 相続財産とは、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいい、未だ明確な権利とはいえない財産法上の法的地位なども含まれるとしたうえで、相続税法は、相続財産の評価時期を相続開始時のみとし、後発的事由に基づく再評価は許容していないのだから、更正処分が取り消されるまでは、還付請求権は条件付き債権としても発生していないのであり、本件過納金の還付請求権が相続財産を構成すると認めることはできない、としました。 還付加算金は遡及するが 勝訴になった税務訴訟により還付されることになった税金に伴い、納付時からの利息として還付加算金が付いてくるものの、それが認められるからといって過納金の還付請求権が国税の納付時に遡って発生したと主張する税務署側の論理は飛躍している、と一蹴しています。 | 結論 還付金は、本来的には被相続人たる納付者本人の財産として扱うのが相当であるが、それが納付者の相続開始後に発生した場合には、相続人の新たな収入金額として扱うことも格別不合理ではないというべきである、としています。 ここのところは少し論理的ではないですね。 射程範囲 損害賠償事案では古くから訴訟上の地位は相続税における課税対象から外れていましたが、この裁判で、訴訟上の債権の相続税非課税の射程範囲は少し拡がったように思われます。 |
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