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2008年4月14日(月)

起業への嫌がらせ

 
 

働くとは?

 『ブラブラしていないで働きなさい』というとき「働く」とはどこかに勤めることと思って話す方も言い、また聞く方もそう思って聞くのではないでしょうか。

 全員がサラリーマンの社会は社会主義社会ですが、日本人の感覚は全く社会主義社会のものと同じです。

 そして国の制度も多くの点で社会主義的で、国民はみなサラリーマンだという前提にできています。

50年間の推移

 55年前の日本、朝鮮戦争の終った1953年においては、サラリーマンは1,660万人で全就業者の41.6%でした。

 それが50年後の2003年には5,335万人になり、全就業者の80.0%を占めるに至りました。

 逆に自営業主(含家族従事者・含農業者)は1953年に2,253万人( 56.5%)だったのが2003年は981万人( 14.7%)に減っています。

 50年前の日本では、「働く」ということの意味は「稼ぐ」ということであり、小さな商いや事業をするということが選択肢の大きい部分を占めていました。

 資本主義社会なら、独立自営の起業を志すのが夢であって良いはずですが、今の日本ではこういう夢をもつことに制度的障碍があり、リスクも大きいのです。

 起業者の大部分は日本では退職者ばかりです。

SOHOで出発したら

 一念発起して配偶者ともども協働して起業したとします。

 始めは収入が少なく配偶者への専従者給与を10万円、年間120万円ぐらいしか払えなかったとします。この場合、事業主は配偶者控除も配偶者特別控除もとれません。専従者には冷たいのです。

 これがサラリーマンの奥さんのパート収入だったら21万円の配偶者特別控除がとれるのにです。

 65歳未満の配偶者での年金受給額が同じだけある場合では、26万円の配偶者特別控除がとれるのにです。

少数派の悲哀か?

 将来は多数のサラリーマンのための職場を創り出すかもしれない起業のヨチヨチ歩きの時代は、リスクが大きいというだけでなく、税制などの公の制度の底意地の悪さが身に沁みます。

 所得税の確定申告の作業をしつつ、いつも感じるところです。