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2008年3月28日(金)

役員の退職の事実とは?

 
 

全面勝利裁決

 平成18 年11 月28 日、広島国税不服審判所では、同族会社役員の退職の事実を認め、納税者の主張を全面的に認める裁決を言い渡しました。

係争内容

 取締役を辞任する旨記載した辞任届を提出し、直ちに臨時株主総会を開き、取締役辞任と退職慰労金支給を承認し、支給した役員退職給与を損金の額に算入した確定申告を行ったところ、退職の事実は認められないから、退職金は役員賞与に該当し、損金の額に算入することはできないとして税務署が更正処分を行ったのに対し、納税者が課税処分全部の取消しを求めて争ったという事案です。

 


税務署と納税者と審判所の主張判断

税) 辞任後他の従業員給与をはるかに超える
   額の給与の支給を受けている。

納) 辞任後経営に従事することは予定されて
   おらず取締役としての権限もない。

審) 金額の多寡のみをもって判断すべきでな
   い。

税) 議事録には出席取締役とした表記・押印
   がある。

納) 議事録は会計事務所作成で記載内容は
   事実と異なる。

審) 記載は事実に即しておらず実体を表した
   ものとは認められない。

税) ホームページの会社組織図に会長を位置
   づける表記がある。

納) ホームページは作成後更新していなかっ
   たため誤った表記になっている。

審) ホームページの会社組織図は実体を表し
   たものとは認められない。

税) 幹部会・品質管理委員会で経営方針につ
   いて指示を行っている議事録がある。

納) これらの挨拶をもって経営方針につき指示
   を行ったとするのは誤りである。

審) それらの会議自体が経営の重要な意思
   決定を行う場であるとは認められない。

税) 設備稟議書にサインしているから費用支
   出の可否を判断している。

納) 権限のない者が営業所日誌等にサインを
   しても管理監督していることにはならない。

審) サインは閲覧したことを示すにすぎず、管
   理監督・費用支出可否判断したとはいえ
   ない。