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2008年3月12日(水)

涙 の 分 析

 
 

涙は水、H2O

 涙は水、これを電気分解すると、H2Oすなわち酸素と水素に分かれる、と昔習いました。

 で、そのことが何を意味するのか などということはすっかり忘却の彼方です。

 しかしその涙には、嬉し涙や悔し涙、はたまた空涙などなど、流したその理由(わけ)は千差万別です。

分析要素は多面性をもっている

 棚卸資産(在庫)は財務諸表分析をするうえで重要な要素です。一般に在庫が多いと投下資本の割に利益があがらない、すなわち収益性の圧迫要因になっているということになります。

 その一方で棚卸資産は流動資産であるというところから在庫が多少多めではあっても流動比率を高めている要因と見られます。

 片方が良くても他方で逆に作用する1枚のコインに裏表があるようなもので、両面を見て初めてコインを見たことになります。

皮相的な分析に終止しない

 涙のその背景に嬉し涙や悔し涙というドラマがあるように、在庫が多い少ないの背景にもドラマがあるのかもしれません。

 売上が好調なときに在庫切れをすると、せっかくのチャンスを逃してしまうことになります。それを防止するために十分な在庫を確保しておこうとします。しかし、在庫を多く持てば運転資金を圧迫するだけでなく、デッドストックの遠因にもなります。売上、資金、在庫とその責任部署が異なればその部門間での思惑が交錯することにもなるのでしょう。

     財務分析はともすると収益性が高いとか、流動比率が何%ですということで終止してしまいがちですが、その背景にまで思いが至ればまた別の味わいを感じることができそうです。