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2007年12月3日(月)

夫婦財産契約と税

 
 

夫婦財産契約を登記して税金申告

 「夫及び妻がその婚姻届出の日以後に得る財産は、それぞれの共有持分を2分の1とする」との夫婦財産契約をして登記したことに基づき、夫名義で得た収入の2分の1が夫及び妻それぞれの収入であるとして、税金の申告をした人がいます。


裁判所の見解は

  1. 夫婦財産契約は、夫又は妻が一旦取得した財産の夫婦間における帰属形態をあらかじめ包括的に取り決めたものと解され、ある財産が夫又は妻が一旦得た財産であることまで変更するものではないというべきであるから、納税者たる夫が弁護士としての業務を行って得た報酬、雇用契約に基づき支給された給与等及び原稿料等の収入金額の各金額はいずれも納税者の所得に係る収入金額である。
  2. ある収入が所得税法上誰の所得に属すかは、当該収入に係る権利が発生した段階において、その権利が実体法上相手方との関係で誰に帰属するかということによって決定されるものというべきであり、所得税法は課税単位を個人として、その者の稼得した所得について所得税を課することと

しているのである。

 納税者主張の夫婦財産契約がこれらの原則を変更する効果を有するものでないことは明らかであり、納税者が右契約によって夫又は妻が得る所得税法上の所得までも原始的に夫又は妻の共有に属することを意図したとしても、その効果が生じないことはいうまでもない。

 

 

税務当局は牽制している

 最高裁での最終判決が出て、この判例は確定しています。

 契約は自由だが、所得2分の1という契約は課税当局に対しては無効で、契約の意味は形成された財産の帰属を決めるということでしかないということです。

 さらに、離婚や相続での財産分与時に課税がなくて済むかといえば、そうはいかないということです。

 国税庁も、夫婦財産契約により実際に財産の分割分与承継等をするときには贈与税や相続税の対象になる旨見解を公表しています。