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2007年6月6日(水)
一口に損益通算と言っても
 
 

 通算とは、一般的に「プラス」と「マイナス」又は「赤字」と「黒字」の相殺です。

 所得税法にも 担税力の観点から、この通算という考え方があります。

 つまり、「黒字の所得」と「赤字の所得」の通算です。

 このことを所得税法では、「損益通算」と呼び、所得の通算によって所得税・住民税が安くなることもあります。

(1)損益通算と内部通算

 所得税法では、所得を10種類に区分して計算することになっています。

 例えば、給与所得(サラリーマン)、事業所得(自営業者)、不動産所得(土地建物の賃貸)、譲渡所得(土地建物、株式等の譲渡)などがあります。損益通算とは、これら各種所得の計算において発生した損失を他の所得と通算することをいいます。

 一方、内部通算とは、同一の所得内での通算、例えば、上場株式の譲渡損と未上場株式の譲渡益の通算などをいいます。

(2)同じ譲渡所得であっても通算不可

 同じ譲渡所得であっても内部通算ができないものもあります。

 例えば、株式の譲渡損益と土地の譲渡損益の通算はできません。それは、同じ譲渡所得であっても税率や所得計算が異なるからです。

 「株式の譲渡損益」、「土地・建物の譲渡損益」などは、それぞれの所得内部での通算となります。

 

(3)損益通算の制限

 損益通算は、すべての所得計算において発生した損失についてできるわけではなく、不動産所得、事業所得、山林所得、事業所得、譲渡所得の4つの所得で発生した損失に限定されて、さらに、これらの所得でも発生した損失がすべて通算の対象になるのではなく、一定の制限があります。

 この中には、貴金属、別荘などといった生活に通常必要でない資産の損失も含まれます。


(4)ゴルフ会員権の譲渡損失

 一見するとゴルフ会員権は、生活に通常必要でない資産に該当し、給与所得などと通算できないように思われますが、ゴルフ会員権はこれらの資産に該当せず、損益通算が可能です。