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2007年5月14日(月)
二重身分の使用人兼務役員
 
 

 管理職とは、一般に会社内の上級職員に対する用語です。

 「管理職」が使用者・使用人・労働者等のいずれに該当するかは、問題の分野に応じて異なります。

会社法・労働法・民法

 会社では会社法によって「取締役」や「監査役」が置かれています。これらの役員は株主総会で選出され業務執行の決定などに関わります。

 会社との関係は民法の「委任」契約で、従ってこれら役員は労働法上の労働者ではないことになります。それに対し、「雇用」契約関係の従業員は管理職を含め労働者ということになります。

労働法合法・労働基準法

 ただし、管理職でも「人事権をもつ監督的地位にある者」などは、通常の労働組合には加入できません。労働組合法の定めで管理職は、会社=使用者の仲間とされているからです。

 逆に、工場長や支店長あるいは部長などが会社の役員を兼ねる場合(使用人兼務役員)のように役員でも代表取締役の指揮命令を受けて会社業務に従事している場合には、その範囲では労働者であり労働基準法・雇用保険法・労災保険法等の適用を受けます。

 従って役員身分を解任されたからといって当然従業員身分が解雇されるというわけではありません。

税法のスタンス

 この兼務役員の場合、報酬は役員報酬と従業員給与とに分かれると考えられます。

 法人税法では、役員報酬は原則損金不算入ですが、兼務役員の使用人分給与については、賞与・退職金を含め原則損金算入です。

 使用人兼務役員への報酬給与に対する税法のスタンスは労働基準法準拠です。

 ただしそうでないものもあります。

 平成17年3月制定の「教育訓練費控除」では、「教育訓練費」は「使用人」に対して行うものに限るとしており、その使用人には「使用人としての職務を有する役員」を除くとしておりますので、こちらは役員としての部分が強調され、会社法準拠です。