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2007年2月13日(火)
名刺専務の賞与 損金不算入か?
 
 

会社法の表見代表役員

 会社法では、社長、副社長、専務取締役、常務取締役などの肩書きは一般に会社を代表する権限を有するものと認識されている名称(表見代表)なので、たとえ代表権を有していなかったとしても、その者の行なった取引については、会社は、あたかも真実の代表権がある代表取締役が行なった場合と同じように、取引に基づく義務を負担すべきものとしています。

 たとえば、取引が売買であれば、会社は目的物の所有権を移転し、あるいは売買代金を支払わなければならず、借入であれば借入金を返済する義務を負わされ、手形・小切手を発行したのであれば、決済をする義務を負うなどということです。


表見代表役員の要件

 それでは、会社内のどの程度の者が知っていれば表見代表の要件を満たすかですが、取締役のみが知っていた場合については、争いがあるものの、少なくとも代表取締役がそれを知って放置しているという事実があれば、会社に責任が生じます。





税法にも類似の規定

 税法上もこれと同様に、使用人兼務役員になれる役員は平取締役に限られるとしており、社長、副社長、専務取締役、常務取締役など会社を代表すると認められる名称を付した取締役は使用人兼務役員には該当しないこととしています。

 使用人兼務役員なら使用人分賞与は損金算入ですが、非該当だと事前届出抜きには損金不算入です。

税法の表見代表役員要件

 ただし、税法においては、表見代表の事実認定については、社内の認識の状況に介入して判断していくことの困難さを考慮して、定款等の規定又は総会若しくは取締役会の決議等により職制上の地位を付与する等会社の内部組織上その事が客観的に明確にされている場合に限定する旨、通達で名言しています。

 したがって、常日頃、専務、常務等の呼称で呼ばれているとか、名刺にその肩書きが表示されているとか、というだけなら使用人兼務役員になり得ます。