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2007年2月2日(金)
損益分岐点が使えない!!
 
 

減る固定費 上がる収益力

 日経新聞9月17日トップ記事では、過去25年間で最低の損益分岐点(BEP)となり、“スリムで筋肉質の経営に転換した結果”と評価している。

  しかし、このデータは上場企業1620社を調査したものであり、中小企業の現実はどうでしょうか?

 中小企業は不足する経費予算を更に削り、固定費などは無いに等しく、にもかかわらずBEPが上昇し、経営状態が悪化しています。

 その理由は、粗利益率の低下によるもので、
その又理由が

  1. 原材料の高騰を納入単価に転嫁できないこと
  2. 人件費負担増というダブル要因によるものです。

 数年前まで2%以上の粗利益率変動は異常値と言えるほどで粗利益率が安定していたからこそ固定費との割合で求めるBEPは、経営の健全性の目安になりました。

 しかし、今や粗利益率が前年対比で7%以上も変動するためBEPの意味合いは業績結果の確認にしかなりません。

 上場企業のBEP改善はトヨタ看板方式に見られる「ジャストINタイム」で下請け中小企業に突発的・集中的な納期を強要した結果であり、中小企業はその集中を突発的に対処する“人海戦術”でこなしているため、割増賃金などで人件費が急増し粗利益率が大きくブレルため、中小企業にとってはBEPが経営改善の目標指標に使いづらくなっています。