2006年11月14日(火) |
定期同額給与規定に見る「法令用語の常識」 |
10月30日に書いた、「法令用語の常識」としての「その他の」と「その他」の使い分けをしている条文で、今年の重要な税制改正に絡むものがあります。 「の」有無「常識」の内容を復習してみますと、「Aその他のB」というときAはBの一例示ということです。「退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」というような用例です。 これに対し、「の」のない「Aその他B」というときは、AとBは並列で、どちらかといえばAが原則でBが例外の関係になります。 「恩給、年金その他これらに準ずる給付」というような用例です。 改正条文での用例 今年の重要な改正とは定期同額給与のことで、条文は「当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずるものとして政令で定める給与」という規定になっています。これは、「の」のない方の用例です。 すなわち、当期首から毎月の給与が同額であること、これが原則で、その他の例外は政令で定める、ということが書かれています。 原則の部分は、期首から期末まで毎月同額であること、を要求しています。 どういう理由で毎月同額になっているか、ということなどは何も問うていません。 その他同額でなくてよい場合としての例外事項は政令委任ですが、毎月同額ならば例外については検討不要ということになります。 |
今後の改定の仕方 ところで、毎月同額報酬にするのに、前期中に臨時株主総会を開き、翌期首からの役員報酬を改訂するということにしておけば、期中の毎月同額は確保されますので、例外規定にある色々な制限事項に頓着しなくても済みます。 条文の規定振りを斟酌していると、今後の中小企業同族会社の役員給与改訂開始時期は期首とするのが多数派になるように思えてきます。 どうでしょうか。
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